投資信託は少額から分散投資が始められる

投資信託の仕組みと始め方

投資信託は少額(100円~)から投資可能な上、手間がかからず、リスクを分散した状態で運用できるため、初心者でも買いやすい商品です。

投資信託の仕組みは、プロの投資家が我々のような個人投資家や機関投資家から集めたお金を使い様々な株式や債券を売買して運用して利益を還元する、というものです。

商品選びの注意点としては、手数料が安いこと、配当再投資型であること、インデックスファンドであること、長期スパン(最低10年以上)で考えて売らずに持ち続けること、があります。

これを満たせば、利益が出る確率はかなり高くなります。ただし、掛け金の○十倍になるようなことはなく、「一攫千金」を夢見る人には物足りなかもしれません。根気よくじっくりと育てていく覚悟が必要です。

投資信託って怪しい?と思っている人も多いようです。確かに、中には消費者(個人投資家)にとってわかりにくい商品があることも事実ですが、すべてが怪しい訳ではありません。

投資信託とはそもそもどういうものなのか。商品の特徴やメリット・デメリットをよく理解しておけば、騙されて変な商品を買ってしまうような事態も避けることが出来ます。

投資信託とは?

投資信託(ファンド)とは、投資家から集めたお金を、運用のプロであるファンドマネージャーが株式や債券に投資・運用して利益を投資家に還元する金融商品です。

投資信託の基本は分散投資、株や債券の詰め合わせパック商品のようなものです。1つの銘柄に収益を大きく左右されるリスクを回避するために、多くの銘柄に投資しています。

投資信託を買う我々個人投資家は、個別の銘柄を吟味したり、分散の配分、売買するタイミングを考えたりする必要がないので、専門的な知識がなくても投資を始めることができます。

株式と債券の詰め合わせパック商品を買うようなものだと考えて下さい。しかも、状況に合わせて中身を組み替えてくれるので、株を買った会社が倒産して紙くずになってしまうようなことはありません。

投資信託のメリットとデメリット

メリット

  • 少額から始められ分散投資ができる
  • 手間がかからない
  • 時間を掛ければ損しにくく利益を出しやすい

少額から始められ分散投資ができる

株式投資は、株価が暴落したり企業が倒産するなど大きく損をするリスクがあります。

そのため、複数の銘柄を保有してリスクを分散させる形を取るのですが、これを個人でやろうとするとまとまったお金が必要なります。

投資信託であれば、これを少額から始めることができます。100円からでも投資可能ですから、収入が少ない若者や、最初から多くの資金を投入することに抵抗がある初心者にとって買いやすい商品なのです。

月5,000円や10,000円から始める人が年々増えています。

手間がかからない

複数の銘柄を保有して売買をするようになると、管理が大変です。

各企業の株価や業績をチェックして、売買のタイミングを図るのは上級者でも骨の折れる仕事です。

これが投資信託であれば、基本はほったらかしで済みます。

時間を掛ければ損しにくく利益を出しやすい

世界経済は年々成長しており、全体の株価は上昇し続けています。

もちろん、短期的に見れば株価が下がることもありますが、平均すると年6~7%の上昇という結果が出ています。

10年20年のスパンで考えて、世界全体に分散投資をして株を保有し続けていれば、ほぼ確実に利益が出るということです。

デメリット

  • 大きく儲けることは難しい
  • 手数料がかかる
  • 不況になると損をしやすい

大きく儲けることは難しい

投資信託は分散投資です。リスクを分散できるというメリットがありますが、これは裏を返せば儲けも分散されるということです。

1つの企業の株だけに集中投資をしていれば資金が10倍になったのに、分散投資をしていたせいで儲けは1/10ということがザラにあります。

手数料がかかる

投資信託には、手数料がかかります。

売買手数料と信託報酬の2つがあります。売買手数料は購入したり売却する度に発生し、信託報酬は保有している限りずっと発生し、保有金額の数%(0.1~3%ぐらい。商品によって違う)が1年毎にかかります。

最近はノーロードと呼ばれる、売買手数料が0円の商品も出てきていきますが、信託報酬は必ず発生します。ただし、信託報酬も年々安くなってきおり、年0.1~0.2%程度という商品も増えています。

この手数料を低く抑えるのが投資信託を運用する上で重要なポイントです。

不況になると損をしやすい

そもそも株式投資というものは世の中の景気に左右されます。

たとえ業績が伸びていても、全体の景気が悪いと株価も上昇しにくくなるものです。分散投資していると尚更、全体の数字が反映された結果になる傾向にあります。

そのため、株価と反対の値動きをするや、値動きが安定している債券を組み入れて、買い方を工夫する必要があります。

投資信託はどこで買えるの?

投資信託は、証券会社や銀行、郵便局で買うことが出来ます。

今、スタンダードなのは「インターネットの証券会社」です。口座は無料で開設できますし、好きなタイミングで売買できるうえ、毎月決まった額を購入する積立のシステムも揃っており非常に便利です。

どれを買えばいい?

投資信託は膨大な数な商品があり、どれを買えばよいのか迷うと思います。

日本株式、先進国株式、アメリカ、国内債券、外国債券、バランス、不動産(REIT)、金など、ざっと大きく分類してこれぐらいあり、それぞれ微妙に中身が違う商品があります。

はじめのうちは、バランス型を買うのが良いでしょう。世界全体の株式や債券にバランスよく分散投資できるからです。世界経済は右肩上がりで成長し続けているので、それに連動した商品を買えば長いスパンで見れば少しずつ利益が出る可能性が高いでしょう。

もう少し範囲を絞って利益率を高めたい場合は、先進国株式かアメリカ株式が良いでしょう。

買ってはいけない商品

投資信託で買ってはいけない商品の特徴は以下の2つです。

  • 手数料・信託報酬が高い
  • 分配型である

手数料が高い

手数料は1円でも安く、信託報酬は0.1%でも少なく、というのが基本です。

購入手数料は0円のものを選びましょう。信託報酬の目安はインデックスファンド(指数連動型)なら0.25%ぐらいが限度です。アクティブファンドでも1%程度で抑えたいところ。

それ以上のものは避けましょう。

分配型である

分配型の投資信託の何がダメかというと、元本を崩して配当金を出すからです。もちろんきちんと利益が出ていて配当金を出すのであれば問題ないのですが、そうではないことがほとんどです。

元本を崩して分配金を出すと、基準価額(株価のようなもの)が下がります。買ったときより値段が下がっているのですから、損が出ている状態です。そうすると最終的には損をすることになります。

投資信託の買い方。基本はドルコスト平均法で毎月同額を積み立てること

投資信託の買い方として有効なのが、ドルコスト平均法と呼ばれるやり方です。

株価を気にせず毎月決まった額を購入することで、株価が割高なときは少なく、株価が割安なときには多く買うことができます。

割高なときに多く掴まされたり、割安なときに買い逃したり、といった不利な買付けを避けることもできます。

さらに、時間も分散されることも大きなメリットです。最高のタイミングで大量に買うこともできないけれど、最悪のタイミングでたくさん買わされることもないので、全体的にバランスが良くなります。

複利効果で資産が指数関数的に増える

長い時間をかけてドルコスト平均法で投資をすることで、複利効果も期待できます。

たとえば100万円の元金に対して金利が10%だとすると、1年後には110万円。1年間の利益は10万円、ということになります。これを毎年同じように繰り返すと10年で利益は100万円です。これを単利といいます。

複利の場合、1年目は同じですが、2年目以降は状況が変わります。

2年目は、110万円に対して10%の金利ということになるので121万円。利益は11万円に増えます。これが毎年続いていくとどうなるでしょうか?

単利と複利の比較

単利複利
1年1,100,000円1,100,000円
2年1,200,000円1,210,000円
3年1,300,000円1,331,000円
4年1,400,000円1,464,100円
5年1,500,000円1,610,510円
6年1,600,000円1,771,561円
7年1,700,000円1,948,717円
8年1,800,000円2,143,589円
9年1,900,000円2,357,948円
10年2,000,000円2,593,743円

複利計算。どれだけ増えるかシミュレーションするツール

5年で11万円、10年経つと約60万円の差がつきます。時間が立てば経つほど差は大きくなります。

1年間の利益が小さくても時間を味方につければ大きく資金を増やすことが可能なのです。

ですから、投資信託で「銘柄・株価・時間」の3つを分散させることでリスクを抑えて、じっくりと時間をかけて投資をすれば、それなりの結果が期待できるということがよくわかるのではないでしょうか。