貯蓄が0円の老後破産を回避するためには

貯蓄ゼロ

貯蓄が0のために、日々の生活資金が回らなくなって破産。

非正規雇用だったために貯金ができなかった、年金保険料の支払いもままならなかったといういうような、経済的に恵まれなかった人ばかりが老後破産を迎えるわけではありません。

平均かそれ以上の収入がありながら、老後に資金が尽きてしまう人が意外と多いのです。

多くの人は経済的にもっとも豊かになるのは50代です。その余裕のある時期に浪費癖をつけてしまった人が貯蓄ゼロのまま退職して65歳以上となり、年金だけでは生活できずに破産申請……というパターン。まさかと思うかもしれませんが、他人事ではありません。

老後に必要なお金はいくらなの?

一般的なサラリーマンの場合で計算すると、老後に必要なお金(退職金や年金を除く)は3000万円程度と言われています。

なぜこの金額なのでしょうか?

月々の赤字 × 12ヶ月 × 20~25年

という単純な計算です。平均的な家庭だとこれが3000万円になる、というだけの話。何も難しくありませんね。

自分の退職金、月々の年金、そして65歳までに貯められるであろう預貯金(金融資産)を把握しておけば、足りない金額はいくらなのか簡単に計算できます。

平均的な老後の支出額から赤字分を計算する

たとえば65歳以上の家庭の平均的な支出は、月々27万円程度。年金支給額の平均が23万円。1ヶ月で4万円ほど赤字です。

これが1年間だと48万円。多めに見積もって50万円とします。これが20年続けば1,000万円です。25年で1,500万円となります。

計算上、1500万円あれば老後の収支がマイナスになることはありえないのです。

とはいえ、臨時の支出もいくつかあるでしょう。冠婚葬祭や自宅のリフォーム、車の買い替え、介護費用諸々などです。これらを合わせても多く見積もって2000万円から3000万円くらいです。

それでも赤字になってしまうのはなぜ?

老後の資金は3000万円あれば、大丈夫そうです。

しかし机上の空論と現実は違うわけで、実際に破産してしまう人がいます。

3000万円を遥かに超える赤字を抱える人がいるのはなぜでしょうか?

貯蓄0で老後に突入してはいけない

平均的な老後の支出は月々27万円です。

しかし、老後の生活をゆとりを持って過ごしたいと考え、月々の支出を35万円程度と想定している人が多いです。

35万円で計算すると、年間赤字は144万円です。25年なら3600万円必要ということになります。これに臨時の支出をあわせると5000万円程度必要です。

これでは貯蓄0で老後の生活に突入するなんて到底ありえない数字です。

自分の財政状況を把握しておく大切さ

これから10~15年で定年を迎える世代が気をつけなければいけないのは、常に自分の財政状況を把握しておく、ということです。

現在、平均以上の稼ぎがあって、貯蓄がそれなりにあったとしても安心はできません。

なぜなら、高収入で安定した職業の人たちは「年齢を重ねるごとに生活が豊かになっていく」という感覚が染み付いていおり、それがなかなか抜けないからです。

収入がピークを迎える50代から突然年金生活に突入すると、急激な収入の減少に身体がついていきません。そのままの感覚でお金を使い続け、いつの間にか取り返しのつかない状況になっていたということが実際によくあるのです。

金融資産の平均は1500万円と言われているが現実は違う

金融広報中央委員会が、20歳以上の世帯主の世帯に対して行っている「家計の金融行動に関する世論調査」というものがあります。

この調査によると、金融資産保有世帯の平均額はだいたい1,500万円前後で推移しており、2017年は1,729万円でした。金融資産ですから、預貯金だけでなく、株式や国債といった有価証券といった形で保有しているものも含みます。

1,500万円という数字だけを見ると、多くの日本国民はたくさんのお金を蓄えているように見えます。

全世代の平均で1,500万円なのだから、収入がピークに達する50代後半ではもっと多いはずです。老後の蓄えもなんとかなりそうな数字に思えます。

中央値は平均値よりずっと下にある

しかし、ほとんどの人は「そんなに持ってないよ」と思うのではないでしょうか?

自分は平均以下なのか、と落ち込んでしまう人もいるかもしれません。これには秘密があるのです。

1,500万円というのはこれはあくまでも平均であり、中央値は380万円となっています。

一部の裕福な家庭が保有する資産によって平均が引き上げられているに過ぎないということです。

金融資産を1,000万円以上保有している家庭は3割程度であり、残りの7割はずっと少ないのが現実です。

貯蓄0は3割

2人以上の世帯で「貯蓄がない」と答えた人の割合は、ここ数年だいたい3割前後で推移しています。2008年は20%強でしたが年々数値が上がって2013年以降は30%を超えるようになっています。

10年で10%も増加しているのです。この流れと自分は関係ないと自信を持って言える人はどれくらいいるでしょうか。

ちなみに、単身者のみに絞ると、貯蓄0は約5割にまで上ります。

解決策は年齢で変わる

あと10~15年で引退を迎える場合、生活サイズを小さくする。支出の少ない生活に慣れる準備を始めるのが最優先事項です。

収入を上げるよりも、支出を抑えるほうが簡単で確実だからです。

もっと若い世代の場合、収入を上げるにはどうすればよいか、真剣に考えるべきです。今の職場で成果を上げる、転職をする。スキルを上げるなどやれることはたくさんあります。

もちろん、仕事やお金がすべてではない、という価値感も認められるべきです。様々な生き方があります。

一番良くないのは「みんなと同じような、平均的でちょっと贅沢な暮らし」を想定して、十分な後ろ盾がないにもかかわらず身分不相応なお金の遣い方を続けることです。