貯金額が少ないので60歳から年金をもらいたい場合は?

貯金が少ないから年金を早く受け取りたい

「貯金が心もとないので60歳から年金をもらいたい」そう考える人もいるでしょう。

そのような人が使えるのが、繰り上げ受給です。原則として国民年金の受け取りは65歳からですが、本人が希望すれば60歳からもらうこともできます。ただし、1ヶ月繰り上げされるごとに0.5%ずつ支給額がカットされてしまいます。

また、繰り上げ受給に対して、「繰り下げ受給」という受給開始年齢を最大5年遅らせ、70歳から受給を始める制度もあります。

繰り上げ受給と繰り下げ受給、そして通常通り65歳から年金を受け取った場合では総支給額にどれくらい差が出るのか紹介しているので、実際にどうするか判断するときに参考にして下さい。

60歳から繰り上げ受給する場合のデメリット

0.5% × 12ヶ月 × 5年 = 30%の減額

通常受給の場合:年間78万100円のところ…

年間54万6,070円に減額。しかも、減額された金額が生涯適用されます。繰り上げ受給すると、障害年金を請求できなくなるというデメリットもあります。

70歳まで受給を遅らせる場合

0.7% × 12ヶ月 × 5年 = 42%の増額

5年の繰り下げ受給なら年間110万7,742円に。年金の受け取りを5年送らせても平気なくらい経済的に余裕のある方は益々得をすることになります。

年金の受給を始める年齢による総受給額の比較

さしあたって日々の暮らしで意識されるのは月々、あるいは年単位の支給額だと思いますが、参考までに年金受給開始の年齢によって総受給額にどれくらい差が出るのか、表にしてみました。

年齢5年繰上通常5年繰下
61歳\546,070\0\0
62歳\1,092,140\0\0
63歳\1,638,210\0\0
64歳\2,184,280\0\0
65歳\2,730,350\0\0
66歳\3,276,420\780,100\0
67歳\3,822,490\1,560,200\0
68歳\4,368,560\2,340,300\0
69歳\4,914,630\3,120,400\0
70歳\5,460,700\3,900,500\0
71歳\6,006,770\4,680,600\1,107,742
72歳\6,552,840\5,460,700\2,215,484
73歳\7,098,910\6,240,800\3,323,226
74歳\7,644,980\7,020,900\4,430,968
75歳\8,191,050\7,801,000\5,538,710
76歳\8,737,120\8,581,100\6,646,452
77歳\9,283,190\9,361,200\7,754,194
78歳\9,829,260\10,141,300\8,861,936
79歳\10,375,330\10,921,400\9,969,678
80歳\10,921,400\11,701,500\11,077,420
81歳\11,467,470\12,481,600\12,185,162
82歳\12,013,540\13,261,700\13,292,904
83歳\12,559,610\14,041,800\14,400,646
84歳\13,105,680\14,821,900\15,508,388
85歳\13,651,750\15,602,000\16,616,130
86歳\14,197,820\16,382,100\17,723,872
87歳\14,743,890\17,162,200\18,831,614
88歳\15,289,960\17,942,300\19,939,356
89歳\15,836,030\18,722,400\21,047,098
90歳\16,382,100\19,502,500\22,154,840

76歳までは繰り上げ受給がトップ。だけど85歳で300万円の差が

5年早く繰り上げ受給した場合、76歳までは総受給額はトップですが、77歳の時点で通常受給の人に追い抜かれます。そして、82歳の時点で「5年繰り下げ受給」が1位に。

当然ですが、長生きすればするほど「繰り下げ受給」の人は総受給額は大きくなり、85歳の時点では、「5年繰り下げ」と「5年繰り上げ」の総受給額の差は300万円に、通常受給との差でも100万円にもなります。

総支給額で考えなくても、繰り上げと繰り下げでは年間の支給額で倍以上、通常と比べても1.5倍違いますから、よほど深刻な事情がない限り受給開始年齢は遅らせるに越したことはありません。

人間、何歳まで生きるかは誰にもわかりませんが、経済的な余裕があれば日々穏やかな気持で暮らせることは間違いないでしょう。年金受給を早めようか考えている方は、繰り上げ受給のデメリットを加味した上で、他に収入を得る手段はないかよく吟味して検討する必要があります。