あなたがもらえる年金額
定年を迎えるにあたって、気になるのは貰える年金額がいくらかなのか?ということでしょう。国民年金は全員同額はですが、厚生年金はその人がもらってきた給料などによってことなります。まずは自分に近い働き方や年収の例を見て、おおよその月額の年金額を知っておきましょう。
厚生年金の金額は、給料に応じて払ってきた保険料と、支払った月数から計算します。いくつか注意点があります。
給料を今の金額におきかえる。
30年前の20万円と今の20万円では当然価値が違います。そのため、年金額の計算にあたっては、「再評価率」というものを使い、当時の給与を現在の水準に置き換えて計算します。
②ボーナスの考え方
平成15年(2003年)の3月までは、厚生年金の保険料は、月給からのみ控除され、ボーナス分は控除され、ボーナス分は控除されませんでしたが、平成15年4月からはボーナスからはボーナスからも保険料が控除されるようになりました。
そのため、もらえる厚生年金額を計算する際も、平成15年3月までと4月以降ではボーナス分を含める、含めないの差があります。
また、加入月数に応じて老齢基礎年金(国民年金)も支給され、条件を満たす配偶者や子どもがいる場合は、加給年金や振替加算も支給されます。詳細な額は「ねんきんネット」で確認することができます。
厚生年金の経過的加算とは?
厚生年金制度に加入している人は、通常の厚生年金に加えて、経過的加算が支給されます。
経過的加算とは、厚生年金の加入月数に応じて計算される金額(上限40年)が国民年金に比べて高いため、その差額を埋めるためのもので、65歳から支給されます。
20歳以上60歳未満の間の厚生年金加入月数が40年未満で、国民年金の対象外となる20歳未満や60歳以降などに厚生年金加入月数が多いと金額が増えやすくなります。
また、厚生年金は加入期間が1ヶ月しかない人でももらえます。ただし、特別支給の老齢厚生年金(65歳までもらえる年金)は1年以上の加入期間がある人が対象になります。
国民年金は自分で加入手続きや保険料の納付をしなければため、転職などで未納期間が出来てしまうことが起こりえます。
未納期間がある場合は、任意加入制度や、5年間さかのぼって納付できる後納付制度を使いましょう(5年間後納は2018年9月までの特別措置)。
厚生年金の受給開始額は段階的に引き上げられている
Aさん。定年退職後そのまま
- 大学卒業後すぐ就職
- 60歳で定年退職
- ボーナスが多め
- 在学中の国民年金未納なし
年齢 | 厚生年金 | 国民年金 | 月額合計 | |
---|---|---|---|---|
平成30~32年 | 62歳~64歳 | 7.4万円 | ー | 7.4万円 |
平成33年 | 65歳 | 7.4万円 | 6.5万円 | 13.9万円 |
月給12ヶ月 | ボーナス(年間) | 年収 | |
---|---|---|---|
20代 | 150万円 | 50万円 | 200万円 |
30代 | 250万円 | 80万円 | 330万円 |
40代 | 350万円 | 100万円 | 450万円 |
50代 | 450万円 | 150万円 | 600万円 |
Bさん。定年退職後、65歳まで嘱託職員
- 大学後卒業すぐ就職
- 60歳で定年退職
- 65歳まで嘱託職員(厚生年金未加入)
- ボーナス少なめ
- 在学中の国民年金未納なし
年齢 | 厚生年金 | 国民年金 | 月額合計 | |
---|---|---|---|---|
平成30~32年 | 62歳~64歳 | 8.1万円 | ー | 8.1万円 |
平成33年 | 65歳 | 8.1万円 | 6.5万円 | 14.6万円 |
月給12ヶ月 | ボーナス(年間) | 年収 | |
---|---|---|---|
20代 | 150万円 | 50万円 | 200万円 |
30代 | 250万円 | 80万円 | 330万円 |
40代 | 350万円 | 100万円 | 450万円 |
50代 | 450万円 | 150万円 | 600万円 |
60代 | 216万円 | ー | 216万円 |
AさんとBさんは同じ年収なのに、年休受給額に差が出るのはどうして?
AさんとBさんは年収は同じ金額ですが、ボーナスの額に差があり、それが年金額の差になっています。
年収に占めるボーナスの額が低いほうが年金額は増えます。
Cさん。60歳以降も厚生年金に加入
- 大学卒業後すぐ就職
- 60歳で定年退職
- 65歳まで嘱託職員(厚生年金加入)
- 高年齢雇用継続給付あり
- 在学中の国民年金未加入
年齢 | 厚生年金 | 国民年金 | 月額合計 | |
---|---|---|---|---|
平成30~32年 | 62歳~64歳 | 6.9万円 | ー | 6.9万円 |
平成33年 | 65歳 | 8.6万円 | 6.5万円 | 15.1万円 |
月給12ヶ月 | ボーナス(年間) | 年収 | |
---|---|---|---|
20代 | 150万円 | 20万円 | 170万円 |
30代 | 300万円 | 30万円 | 330万円 |
40代 | 420万円 | 50万円 | 470万円 |
50代 | 530万円 | 70万円 | 600万円 |
60代 | 240万円 | ー | 240万円 |
60歳以降も、厚生年金に加入し、高年齢雇用継続給付を受給しているため、65歳前の厚生年金は一部停止されます。
Dさん。
- 24歳で大学卒業後すぐ就職
- 60歳で定年退職
- 65歳までパート(厚生年金未加入)
- 在学中の国民年金未加入
年齢 | 厚生年金 | 国民年金 | 月額合計 | |
---|---|---|---|---|
平成30~32年 | 62歳~64歳 | 8.5万円 | ー | 8.5万円 |
平成33年 | 65歳 | 8.5万円 | 5.8万円 | 14.3万円 |
月給12ヶ月 | ボーナス(年間) | 年収 | |
---|---|---|---|
20代 | 180万円 | 20万円 | 200万円 |
30代 | 320万円 | 30万円 | 350万円 |
40代 | 450万円 | 30万円 | 480万円 |
50代 | 500万円 | 80万円 | 580万円 |
60代 | 120万円 | ー | 120万円 |
退職後も働いていますが、厚生年金に未加入のため、65歳前でも厚生年金の停止はありません。
ここで示している月額年金額のほかに、条件を満たす配偶者や子どもがいる場合は「加給年金」や「振替加算」が支給されたり、勤め先によっては「企業年金」が支給される場合があります。自分の状況を確認し、もらい漏れがないようにしましょう。
Eさん。
- 大学卒業後すぐ就職
- 30歳で独立し、フリーランスに
- 40歳で再就職
- 60歳で定年退職
- 在学中とフリーランス時代は国民年金未加入
年齢 | 厚生年金 | 国民年金 | 月額合計 | |
---|---|---|---|---|
平成30~32年 | 62歳~64歳 | 5.8万円 | ー | 5.8万円 |
平成33年 | 65歳 | 5.8万円 | 4.3万円 | 10.1万円 |
月給12ヶ月 | ボーナス(年間) | 年収 | |
---|---|---|---|
20代 | 180万円 | 20万円 | 200万円 |
30代 | ー | ー | ー |
40代 | 360万円 | 100万円 | 460万円 |
50代 | 500万円 | 80万円 | 580万円 |
国民年金の未納期間が長く、厚生年金の加入期間も短いため、年金額が低くなります。
Fさん。
- 高校卒業後すぐ卒業
- 63歳で定年退職
- 高年齢雇用継続給付あり
年齢 | 厚生年金 | 定額 | 月額合計 | |
---|---|---|---|---|
平成30年 | 62歳 | 5.7万円 | ー | 5.7万円 |
平成31年 | 63歳 | 6.7万円 | 6.5万円 | 13.2万円 |
平成32年 | 64歳 | 6.7万円 | 6.5万円 | 13.2万円 |
平成33年 | 65歳 | 6.7万円 | 6.5万円 | 13.2万円 |
月給12ヶ月 | ボーナス(年間) | 年収 | |
---|---|---|---|
20代 | 100万円 | 20万円 | 120万円 |
30代 | 200万円 | 50万円 | 250万円 |
40代 | 320万円 | 80万円 | 400万円 |
50代 | 400万円 | 100万円 | 500万円 |
60代 | 180万円 | ー | 180万円 |
63歳で退職し、長期特例(厚生年金加入期間が上限40年のところ44年加入)に該当するため、63歳から定額部分の厚生年金が支給される。