退職後に必要な税金の手続き
一般的なサラリーマンが定年退職した後、意識しておきたい税金の手続きは主に2つあります。
ひとつは「退職金」にまつわる確定申告、もうひとつは退職の翌年以降に「住民税」を自分で支払うこと、です。
税金と聞くとなんだかめんどくさそうに思われるかもしれませんが、この2つはそれほど大きな負担にはならないでしょう。
退職金の場合、「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば確定申告の必要はありません。
また、住民税の支払いは65歳以降は年金から天引きになるので自分で支払わなくてもよくなります。
退職金に関する確定申告する必要がある場合
給料に対して税金がかかるのと同様に、退職金にも税金がかかります。
退職金(退職手当)などの支払いのときに、会社に対して「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合、自分で確定申告をする必要があります。
提出している人は、他に収入があったり還付の可能性がないのであれば確定申告をする必要はありません。
退職金にかかる税金の計算から天引きまでを会社がやってくれるかどうか、という話です。
自分で確定申告する場合、一部還付されることもあるので必ずやりましょう。ちなみに確定申告をしない場合は
退職所得に対する税金の計算
(①退職金総額(もらった退職金) - ②退職所得控除額) × 1/2 = ③退職所得金額
③退職所得金額 × 20.42% = あなたが支払う税金
①退職金総額
①退職金総額は、読んで字の如く、あなたがもらう退職金の総額です。
②退職所得控除額
勤続年数が20年以下の場合:
→40万円 × 勤続年数(ただし控除額が80万円に満たない場合は一律80万円となる)
勤続年数が21年以上の場合:
→800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
③退職所得金額
①から②を引いたもの。これに対して税率20.42%を掛けたものが、あなたが支払う税金です。
もらった退職金そのもので税額を計算するのではなく、法律に基づいてある程度少なくしてから税金の計算をしますよ、ということです。
同じ金額を受け取るのであれば、勤続年数が長いほど手元に残るお金も多くなります。
例)勤続35年、退職金2000万円の場合
(①2000万円 - ②(800万円 +70万円 × 15年(35-20))) × 1/2 = ③547.5万円
547.5万円 × 20.42% = 約112万円
税金は112万円、税引き後にあなたの手元に残るのは1888万円ということになります。
住民税はいつ支払うの?
退職した年の住民税は、翌年の支払いとなります。住民税が前年の収入に基づいて決められることになっているからです。
退職の翌年、6月頃に払込用紙が自宅に届きます。4枚に分かれていて6月、8月、10月、翌1月のそれぞれに締切日があるので、期日までに金融機関やコンビニで支払います。もちろん一気に払ってしまってもかまいません。
住民税の金額はどれくらいになるかというと、所得に対しておよそ10%、年収に対しては5~6%程度がだいたいの目安です。もちろん人によって変わります。控除額が大きければ税金は安くなりますし、少なければ多くなります。
払込用紙が届いてから慌てないように、税金支払い分の蓄えをきちんと残しておきましょう。
65歳以降に年金の支給が始まると、自動的に天引きされるようになります。