老後を安心して暮らすための資金はいくあれば足りる?3,000万円か1億円か。

自分の老後の具体的なイメージ

老後に必要なお金はいくら必要なのでしょうか?1億円?3000万円?いろんな説が飛び交っています。

具体的に自分で計算をしたことがある人はどれくらいいるでしょうか?実はみんな漠然としたイメージに流されているだけではないでしょうか。

月々いくらのお金が入ってくるのか、そして出ていくのか。それは何年続くのか。収入と支出をきちんと数字を出して考えてみれば、簡単にわかることです。

一度整理することで自身の人生設計もよりはっきりしてくるでしょう。

一般的な老後家庭の支出金額は?

総務省の調査によると、2人以上の世帯の「消費支出」を世帯主の年齢階級別に見てみると、60~69歳の世帯は29万5955円、70歳上の世帯では24万1266円となっています。

ところが、一般的なサラリーマン家庭の夫婦2人で受け取れる公的年金の平均的な月額は約23万円です。

消費支出の平均額は29万円ですから、月々6万円のマイナスです。年金だけでは足りないということになります。

このマイナスがずっと続いた場合、65歳に定年退職して25年過ごすと1800万円の赤字になってしまいます。

最低ラインは1800万円

この1800万円こそ、リタイア前の65歳までにに最低限蓄えておきたい金額といえます。

ただし、あくまでも最低限です。

忘れてはならないのが、家のリフォーム、車・家電製品の買い替え、冠婚葬祭費、病気や介護への備えなど、年齢を重ねることで掛かる出費があるということ。

特に、現役時代には体験したことのない病気やケガ、介護への対応は想像しにくいかもしれません。家を建てたのが50代だったりするとリフォームも老後に初めてのイベントとしてやってきます。

仮に家のリフォーム代を300万円、車の買い替えを200万円、家電を100万円、病院や介護資金として300万円、死後の始末に掛かるお金(葬儀費用など)に1人150万円として300万円とすると、1200万円。

前述した赤字分の1800万円に、この1200万円を加えた「3000万円」という金額が90歳まで長生きしたとしても安心して生活できる最低金額の目安となりそうです。

3000万円がボーダーライン

巷で言われている老後に必要なお金が3000万円であるという説も、それなりに説得力があるものだとわかりました。

では、どのようにして3000万円を用意すればよいのでしょうか。

退職金が生命線か

サラリーマンの退職金の平均額はおよそ1600万円。上の計算で考えると、なんとか黒字でやっていける数字です。

しかし、退職金が出なかったり、少なかったりする場合は、一気に苦しくなってしまいます。その分は貯蓄で補っていくしかありません。

貯蓄というのは、単純に銀行預金だけでなく、金融資産や不動産、保険で補える部分も含めて計画を立てていく必要があります。

月いくら貯金すれば良い?

単純に、貯金を頑張るという作戦を選択するとしましょう。

65歳までに退職金相当のお金を貯めれるには月いくら貯金すればよいのでしょうか。

月々5万円で年間60万、10年で600万です。20年で1200万円。45歳から定年まで頑張ればそこそこまとまったお金になりますね。ボーナスをうまく使えば1600万円到達も夢ではありません。

今55歳なら倍の月10万円が目標になります。若いうちに始めるのがいかに有利かよくわかりますね。

1億円説があるのはなぜ?

常識的な範囲で考えると、老後に必要な資金は3000万円ぐらいに収まりそうです。

ではなぜ1億円必要だという説もあるのでしょうか?

極端な例を考えてみます。

退職金もない、年金保険料も払っていない、だけど老後は海外旅行などをして悠々自適に暮らしたい……という欲張りな人がいたらどうでしょうか。

この人たちには、一般的なサラリーマンであれば定年退職時に自動的に用意できていた3000万円がありません。

おそらく持ち家もないので賃貸ですから月々の家賃が発生します。仮に7万円だとすると年84万円、25年で2100万円にもなります。

これで5000万円です。さらに毎年の海外旅行100万円を追加すると7500万円です。

相当贅沢な暮らしですね……。

最も重要な年金。そもそも保険料は払っている?

こうして見てみると、確実な定期収入となる年金の存在は非常に重要であることがわかります。

サラリーマンであれば、自動的に給料から天引きされますから良いのですが、非正規雇用者や自営業者の場合は払っていない人もいます。

もし、未納期間があるようでしたら、まず真っ先に潰しておきたい枠です。

「後納制度」や60歳以降に使える「任意加入」を利用して、1円でも多く年金を受け取れるようにすることです。

貯蓄型保険よりも何よりも、とにかく何が何でも絶対に年金保険料だけは払っておきましょう。