専業主婦家庭の老後のお金シミュレーションと対策

専業主婦家庭

専業主婦家庭の場合、老後のお金の動きはどうなるのでしょうか。実際に数字を出してシミュレーションしてみることでイメージしやすくなります。

まず収入。サラリーマンの平均的な退職金は1600万円。年金受給額は23万円となります。

次に支出。平均的な支出は27万円です。これは持ち家か賃貸かどうかでだいぶ変わります。

退職金1600万円。専業主婦家庭の老後

大雑把な計算ですが、退職後の人生を20~25年と考えて収入と支出を計算すると以下のようになります。

退職後の収入は?

①退職金 = 1600万円(夫のみ)

②年金 = 6210万円

※月23万円で20年なら5520万円、25年なら6900万円。間を取ると6210万円

① + ② = およそ7800万円。これが退職後に入ってくる総収入です。イメージできるでしょうか?

退職後の支出は?

各家庭によって詳細は異なりますが、平均的な月々の支出を27万円とすると、各項目の内訳は以下のようになります。

食費65,000円
交通費30,000円
教養・娯楽費25,000円
光熱費25,000円
住居費15,000円
保険医療費15,000円
税・社会保険料30,000円
家事用品・被服費15,000円
交際費50,000円
合計270,000円

これよりも少なく抑えられるのであればそれに越したことはありません。自分の家庭の支出を見直して、削減できるところはないかチェックしましょう。

20~25年で計算すると?

20年の場合
27万 × 12ヶ月 × 20年 = 6480万円

25年の場合
27万円 × 12ヶ月 × 25年 = 8100万円

間を取ると、7290万円。これが退職後の総支出金額の目安になります。

退職後の収支は?

収入:7800万円 - 支出:7290万円 = 520万円(黒字)

ごくごく平均的な収入と、ごくごく平均的な支出であれば、なんとか黒字で老後を乗り切れそうです。

持ち家のサラリーマン家庭の場合、現役中にローンを終えていれば老後の収支は安定します。

退職金が左右する老後の資金

サラリーマン家庭は、退職金の金額が老後の家計を左右します。投資や不動産による不労所得がない場合は、特にその影響力は大きくなります

勤続35年以上のサラリーマンの退職金の平均額は、およそ1900万円から2100万ぐらいが相場です。

中小企業となると1200万円から1400万円程度になります。勤続年数や企業規模によっては、退職金が1000万円に満たなくなる可能性もあります。

平均をとると1600万円。これがサラリーマン家庭の退職金の目安です。

年金収入は月23万円

夫の厚生年金と、専業主婦である妻の基礎年金をあわせた平均的な年金収入は月々23万円です。

年間で計算すると276万円です。仮に、夫婦が85歳まで生きると考えると、65歳からの20年で5520万円。90歳まで生きる場合は、6900万円の年金収入となります。

間をとって6200万円が、年金による収入の目安です。

年金の支給額は年々下がってきていますから、5年後、10年後に定年退職を迎える場合はもっと少なく見積もる必要があります。

持ち家の場合:支出の目安は7000万円超。

政府の統計などによると、60歳~69歳世帯の平均支出は約30万円。70歳以上になると24万円となります。

これを65歳から85歳までで考えると、20年間での支出は6500万円程度、25年間なら8100万円です。

間を取れば7300万円。これが老後に出ていくお金の目安となります。

先程割り出した老後の生活資金7800万円で考えると、やや足りない、ということになります。

住宅ローンや賃貸の場合、支出は増える

もし、賃貸や住宅ローンが残っていれば、支出は増えることになります。

例えば家賃もしくは住宅ローンが月々8万円だとすると、毎月の支出はシミュレーションより8万円加算されます。

年間96万円×20年で1920万円。この金額が持ち家の場合との差額になります。

退職前に必要な貯蓄は2000万円

平均的な収入と支出を想定した計算した場合、持ち家だと数百万円の黒字。賃貸やローンありだと赤字になってしまいます。

賃貸・ローン組がリタイヤ後に安心して暮らすためには、退職前に2000万円は貯めておくべき、という計算が成り立ちます。もちろん、持ち家の場合でも可能な限り貯蓄しておくに越したことはありません。

具体的な数字が出ることで、計画が立てやすくなりますし精神的にも楽になるはずです。よくわからないままモヤモヤと不安を抱えているよりはよほどマシなのではないでしょうか。

専業主婦家庭ができる老後へ向けた対策

  • 退職までに借金をなくす(住宅ローン、自動車)
  • 65歳まで働く
  • 生活サイズを小さくする

借金をなくすことと、貯蓄をすること。

この2つを実現する上で手っ取り早い解決策は、長く働くことと生活サイズを小さくする(節約)ことです。

見直し部分を洗い出して、預貯金に回す

住宅や自動車購入のための借金はとにかく早くなくしてしまうことです。

そのために、普段の生活の見直しが最優先となります。

通信費の節約(スマホは格安SIMに切り替え)、無駄な保険の解約、住宅ローンの繰り上げ返済ができないかどうか、計画を見直してみましょう。

65歳まで働くこと

2025年以降は、「希望者全員」を65歳まで雇用することが義務付けられます。

少しでも長く働けば、その分老後の資金繰りは楽になります。年収200万でも5年間で1000万円です。

退職後も不定期でアルバイトをするなどすれば、目減りする資産に怯える心配も少なくなります。

お金をかけずに余暇を楽しむ

ゴルフや海外旅行など、圧倒的にお金がかかる趣味は控えめにし、お金がかからない趣味を見つけられないか考えてみましょう。

家庭菜園やジョギング、登山など、探せばいくらでもあります。

退職後に突然生活水準を下げるのはかなり難しいと覚悟しておきましょう。10年ぐらい前から徐々にならしていくことが大切です。