共働き家庭の老後のお金シミュレーション

共働きの家庭

夫婦が2人共に働きに出ている家庭のシミュレーションです。

夫の退職金は、1600万円。日本のサラリーマンの平均的な金額です。妻も正社員の場合は、単純にその倍の3200万円という計算になります。

しかし、現在50歳世代の多くは結婚、出産などで退社しているケースも多いので、ここではあえて「妻は非正規社員」と想定しましょう。そのため退職金は0円です。少しシビアに見て計画を立てたほうが安心感があります。

平均的な共働き家庭の老後の収入は9000万円

妻の年金を仮に10万5000円とすると、年間で126万円です。夫の年金を16万5000円とすると、年間198万円になります。合計で324万円になります。

夫婦合わせた老後の年金収入は、85歳まで生きると6480万円、90歳までだと8100万円です。さらに夫の退職金を合わせると、85歳までで8080万円、90歳までで9700万円。

間を取ると8980万円。およそ9000万円ですから、かなりゆとりのある老後の暮らしを送れるように感じます。

夫婦の財布は1つにしたほうが堅実

平均的な支出想定額(7290万円)を差し引いても、1600万円ほどのプラス計算です。しかし、共働きの場合は、むしろそこが落とし穴になる場合があります。

なぜでしょうか?

夫婦共働きの場合、お互いに収入があるため、リタイア前から”自分のお金”をある程度自由に使うことに慣れています。

そのため財布の紐がゆるい傾向にあります。結果的に、リタイア後も頻繁に外食したり、旅行や趣味にもたくさんのお金を使うケースが多いのです。

生活レベルを下げることができるか

シミュレーションでの支出部分は「最低限の支出」を使って計算したのでプラス収支です。

しかし、リタイア後も現役時代と同じようなお金の使い方をしてしまうと、プラス幅が瞬く間に縮小する可能性があります。

仮に「食費」と「教養娯楽費」を毎月1万5000円ずつ上乗せ下とすると、月々3万円、年間36万円。これが25年続くと900万円。シミュレーション上ではプラスとなっていた1600万円のプラス額も500万円まで落ちてきます。

たとえ老後の収入が9000万円あったとしても、油断していると底をついてしまう可能性は十分にあるということです。

共通の財布を1つ作る

昔の癖でついやってしまう高額な消費を防ぐにはどうすればよいのでしょうか。

簡単な解決策としては、夫婦で共通の財布を1つ作るということが挙げられます。専用の口座を新たに作り、食費と光熱費、冠婚葬祭などをその口座から使うようにするのが良いでしょう。

個人的な趣味に使うお金までガチガチに管理しようとすると続きませんので、「明らかに共通の支出である」と判断できるものだけにしておきます。

ちなみに、夫婦仲がいいほど貯蓄額も多いと言われています。意思の疎通がうまく取れている、あるいは同じ価値観を共有できている、というのが大きな原因と考えられます。

リタイア後の20~25年をどのように暮らしていくのか、お互いによく話し合い、夫婦の方向性を今からキチンと決めておくことが肝心です。

共働き家庭のポイント

リタイア前の生活と意識を変える

自立しているのは良いことですが、夫婦がそれぞれにお金をつかうことに“慣れ過ぎている”と思わぬ落とし穴にハマるかもしれません。

リタイア後も同じ感覚でいると大きな損失を被ることになります。

共通口座を作る

倹約意識を高めると同時に、無駄な消費を抑えるためにも「家計用」など、夫婦の共通口座を作っておきましょう。

ネット銀行はコンビニのATMでも手数料が無料だったり、ネットで残高確認ができるので使い勝手が良いです。イオン銀行や楽天銀行(※要楽天証券開設)など、普通預金でも高い金利(0.1%)になるところも増えています。これを機に検討してみてはいかがでしょうか。

夫婦での共通認識を増やす

リタイア後の展望を夫婦でしっかり話し合っておくことが重要です。先を見据えることで必要なお金がいくらなのか計画も立てやすくなります。