定年前後にやるべき手続きのスケジュールとチェックリスト
定年前後には、様々な手続きが必要になります。
このページでは、年金、健康保険、雇用保険、税金、4つの手続きの流れを定年前と定年後に分けて解説しています。おおまかな流れや期日、必要な書類を確認するのに使って下さい。
期日を過ぎたり、書類に不備があると、支給されるお金がもらえなくなってしまいます。事前にきちんと把握しておきましょう。
定年退職「前」の手続きスケジュール一覧
年金の手続きの流れ(定年退職前)
58歳のときにやること
- 定年後のライフプランを考える
- 「ねんきん定期便」で支給開始年齢や年金見込額を確認する
- 「ねんきんネット」に登録。気になる点はあらかじめ、年金事務所へ相談
直前になってあわてないように、定年前に年金をチェックしておきましょう。
59歳のときにやること
- 59歳の誕生月に届く詳細な「ねんきん定期便」の内容を確認。漏れや誤りはをチェック
- 漏れや誤りがあった場合は「年金加入記録回答票」に記入して返送する
厚生年金の手続きは、およそ60~65歳の間、国民年金の場合は65歳から手続きを行います。
定年退職直後は、離職や健康保険の手続きも重なり、特に雇用保険の手続き期間は短いので、前もって準備・確認をしておきましょう。
健康保険の手続きの流れ(定年退職前)
退職2~6ヶ月前
- 退職後の健康保険の検討を始める
- 人間ドッグなどを活用して自分の健康状態を把握する
退職1ヶ月前
- 退職時に健康保険証は会社に返却するので、コピーを控えておく
- 退職後に加入する健康保険の必要書類を用意する
健康保険証のコピーは忘れない!
有給休暇を消化したり、退職日と最終出社日が異なる場合、最終出社日に保険証を返却してしまうと、新しい健康保険に加入するまでの医療費が全額負担になる可能性があります。
健康保険証は通常、退職日まで有効なので、万が一に備えてコピーを持っておきましょう。
新しい健康保険を選ぶ基準は?
退職となる会社員の場合、退職後の健康保険を新たに決める必要があります。
退職後の健康保険を選ぶ基準は「世帯全体での保険料の負担額」です。
自分自身の負担額だけでなく、配偶者や子どもの保険料も合わせて比較しましょう。
雇用保険の手続きの流れ(定年退職前)
退職6ヶ月前
- 給与明細を保管する
- 退職後の働き方を決めておく
退職3ヶ月前
- 離職票の発行手続きを会社に確認する
- 雇用被保険者証を用意する(会社が管理していることもあります)。
退職後約10日
- 離職票の記載内容を確認し、本人記入欄に記入
雇用保険は手続き期間が短い
還暦である60歳は人生の節目であり、今後の人生設計を考える転換期でもあります。
定年退職した後、また新たに求職(転職活動)する場合、雇用保険は強い味方になってくれます。
手続きをする期間は短いので、予め手順を確認しスケジュールを組んでおきましょう。
税金の手続きの流れ(定年退職前)
退職後1ヶ月前
- 退職金が支払われる前に、「退職所得の受給に関する申告書」を提出
提出した場合
- 退職金支給時点で「退職所得控除」を受けられる
提出しない場合
- 確定申告で精算する
退職後1ヶ月以内
- 「退職所得の源泉徴収票」を受け取る
退職後は住民税は自分で支払う
退職後の手続きは、退職金に関するものが中心です。
退職後は住民税を自分で支払わなければいけないので、納税通知書が届いても慌てないように住民税がどれくらいになるか把握しておきましょう。
定年退職「後」の手続きスケジュール
年金の手続き(定年退職後)
60~65歳
- 年金の受給開始年齢の3ヶ月前に「年金請求書」が届く
- 必要書類を用意する
- 年金事務所、または住所地の市区町村の国民年金窓口に提出
必要なものリスト
- 戸籍謄本
- 預貯金通帳
- 印鑑
- 世帯全員分の住民票
- 所得証明書
- 雇用保険被保険者証
※年金請求書に同封されているリーフレットには、必要書類の詳細が記載されています。厚生年金の加入期間などで、必要書類は異なりますので、自分の提出に必要なものを確認しましょう。
年金受給開始後はどんな流れになっているの?
- 振込は2ヶ月に1回、前2ヶ月分の支給額が振り込まれる
- 毎年、11月に「扶養親族等申告書」が届く ↓
- 必要事項を記入して返送
年金請求書に添付する必要書類は各自治体で発行してもらうものが多いです。一部の自治体では「年金請求用です」と伝えると手数料が無料になります。
健康保険の手続きの流れ(定年退職後)
健康保険は選択次第で手続き場所と期限が異なります。
家族の健康保険の扶養になる場合
退職の翌日から5日以内
- 家族の勤務先で手続きを行う
必要なものリスト
- 被扶養者異動届
- 所得証明書
- 住民票
- 退職証明書
国民健康保険に加入する場合
退職の翌日から14日以内
- 住所地の市区町村窓口で手続きを行う
必要なものリスト
- 各市町村で定められた加入の届出書
- 健康保険資格喪失証明書
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 印鑑
任意継続被保険者になる場合
退職の翌日から20日以内
- 加入していた健康保険組合、協会けんぽで手続きを行う
必要なものリスト
- 任意継続被保険者資格取得申出書
- 被扶養家族の生計維持を証明する書類
- 住民票
迷った場合は、手続きの期限が厳密な任意継続被保険者を選んでおきましょう。国民健康保険に加入する際はマイナンバーの記入が必要です。
雇用保険の手続きの流れ(定年退職後)
退職後約10日以内
- ハローワークで求職申込を行う
必要なものリスト
- 離職票1・2
- 雇用保険被保険者証
- 印鑑
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 本人名義の預貯金通帳
- 写真2枚(3cm×2.5cmで3ヶ月以内に撮影したもの
求職申込後10日~2週間後
- 雇用保険受給者初回説明会に出席
- 「雇用保険受給者資格者証」と「失業認定申告書」を受け取り、誤りがないか確認
- 「失業認定日」に必ずハローワークに行く
- 失業認定申告書の提出
- 4週間ごとにハローワークで失業認定を行う
- 雇用保険の失業給付=基本手当(失業保険)が振り込まれる
定年退職後すぐに働かない場合の雇用保険手続きの流れ
退職の翌日から2ヶ月以内
- 受給期間の延長手続きを行う
必要なものリスト
- 離職票1・2
- 印鑑
- ハローワークに用意されている受給期間延長申請書
雇用保険説明会には必ず出席しましょう。失業保険は働く意志がなければ受けることは出来ません。また、「失業認定の実績」は地域によって異なるものもあるので確認しましょう。
税金の手続きの流れ(定年退職後)
退職した年の年内
- 「給与所得の源泉徴収票」が会社から届く。紛失しないように保管しておく
退職後の翌年の2~3月
- 確定申告を行う
「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出している場合、原則確定申告の必要はありません。
退職後の翌年の6月頃
- 住民税の納税通知書が届く
- 期限までに支払う
65歳以上の年金受給者の住民税は、年金から天引きされます(※一部の市町村を除く)。退職金の税金を支払う「退職所得の源泉徴収票」にはマイナンバーの登録が必要です。